おはようございます。
寒くなってきましたね。みゆきです。
昔々の話です。
2013年だったと記憶しています。
Facebookが日本で浸透し始め、個人使用が爆発的に増え、
Facebookの企業アカウントを使ってマーケティングをせよと、
いろんなクライアントが海外本社から言われていました。
私は某外資系飲料ブランドの担当で、
社内のSNSチームに協力してもらい、
企業アカウントを立ち上げ、フォロワー数を増やす施策に取り掛かっていました。
そういう時代理店ではクリエイティブチームに
フォロワーを増やすためのキャンペーンの案を考えてもらいます。
案を考え、それに必要なデザインやコピーを作るところが
クリエイティブチームの領域です。
クリエイティブチームと言ってもいろんな人がいて、
その時会社がアサインしていたのは、
オンラインでのキャンペーンに強いエースでした。
過去に何度もオンラインキャンペーンでヒットを出していて、
広告賞もとっていて社内に手下が数人いるような。
(部下というよりも手下。その人が会社を辞めると一緒に辞めてついて行くような人。)
お金を握っているのは営業なのですが、
クリエイティブに案を出して作業してもらわないことには売り物がないので、
営業はいつも、いかに彼らに力を発揮してもらうか、
気持ちよく仕事をしてもらうか、に心を砕きます。
アイディアが湧きそうな説明を重ねます。
しかし当時まだ、SNSを企業が使うという概念自体が新しく、
説明に難航しました。
エース「なんかこうさぁ…いまいちピンと来ないんだよね~。
ユーザーがFacebookで企業をフォローするモチベーションて
なんなのさ~…」
深夜まで連日ミーティングルームに詰め、
彼らがピンと来るまで説明を続けるのが営業やコンサルの役目でした。
Facebookの機能やアルゴリズム、各国の事例など、
説明材料をどんどん揃え、どんどん情報をインプットするも、
「なんかさ~…」を繰り返すエース。
彼が「よしわかった。任せろ!」と言うまで終わりません。
私を含む営業チーム、コンサルタントが言葉を変え、エースの無言の思考に付き合い、
なんとかインスピレーションを得やすい説明に当たるまで石を投げ続けます。
今でも覚えています。
私がこう言ったんです。
「特にいつもと変わらないCRMキャンペーンなんですよね。
プラットフォームがFacebookというだけです。」
一瞬エースが考え込み、私の顔を見て、
無言で頷きました。
「なるほど。わかった。
よし、行くぞ。クリエイティブだけでアイディア出しだ。」
手下たちを連れて部屋を出ていくエース。
ひと段落着いた営業とコンサルチーム。
仕事をしてもらうために、
『説明』という工程にどえらい時間と労力をつぎ込むのが、
大人というものではないでしょうか。
ここで我が家の次男(4)の話です。
この子はホント、なんかもう予想がつかないことをするところに困り、
でも同時にそこが親としてとても魅力的な子なんです。
しかしそれは時に、痛いのです…
どれも家の外ではやらないことなのである程度本人がコントロールしているはずなのですが、
『なんかちょっとやってみたい。やってみたらどうなるんだろう。』
と思うと抑えきれずにやってみちゃうのです。
どれだけこちらが「ダメ」と言っても、
先に手が動いてしまうのです。
テレビで見る『ダイの大冒険』の戦闘シーンのように、
こぶしで人を殴る真似をして遊んでいた次男。
たまたまそこにいた私。
「そろそろ寝る時間。お片づけして・・・」
「アバーン・・・スラッシュ!!!」
小さな小さなこぶしが、私の頬にゴイ~ン・・・と。
痣にはなりませんでしたが、押すと痛むような状態が数日続くくらい。
顔をこぶしで殴られたことなんてほとんどないので、
その衝撃や痛みで呆然。
「人の顔を殴るなんて、絶対にしてはいけない。」
何度も言ってるでしょ!
確かに何度も言っています。
何度も言っているのにまた同じことをするから、
だから腹が立ちます。
でもふと、昔のエース時のことを思い出すんです。
同じ説明を何度しても、わからないものはわからないのに、
それをわからないからと言って親なら腹を立てていいのか。
「あなたの『やってみたい』よりも多分、
他の人の『嫌だ』のほうが大事、なんだよ。」
この説明で次男がピンと来たのか、まだわかりません。
でもやっぱり少なくとも、違う説明を試すこと、
わかるまで根気よく説明に労力と時間を使うことが、
親の役目なんじゃないかと、次男を見て思うんです。
長男はたまたま、最初の説明でわかる子だっただけで、
エースが「わからない。」と納得しなかったように、
次男もわからないだけなんです。
「何度言ったらわかるの!!!」
とどうしてもキレてしまうんですが、
親という絶対的な権力者としては、
その時間と労力のこと、忘れずにいたいなと改めて思った次第です。
でもホント次男、この予想がつかないところがまた、
妙にかわいいんです。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
ひとりでできることには限りがある。