おはようございます。ワーキングマザー・サバイバルのみゆきです。
いまでも覚えています。
第二子の出産で入院して退院の前、助産師さんが退院後の赤ちゃんのお世話に関してお話してくれました。
私は第二子だったので、ダラッと聞いていたんですが、助産師さんのこの説明に度肝を抜かれました。
「初めての赤ちゃんだと、すごく不安かもしれません。
でも、赤ちゃんはそこまで弱くはありません。でも強くもありません。
絶対病院に連れて行くべき、っていういくつかの症状はあるんですが、それ以外の場合、
赤ちゃんの状態が大丈夫なのか、病院へ行くべきなのか、その微妙なところはね~、
そこはね~多分、なんて言うのかしら、母性本能?そういうものでね、わかると思います。」
いやいやいやいやいや・・・
わかんなくね???
そういうの、『母性本能』っていう『ツチノコ』的な言葉で片付けちゃ、いけなくね?
一緒に話を聞いていた初めての赤ちゃんを出産した女性たちは、
「・・・」となっていました。
そんな彼女たちがどう思い、どう感じたのか。
女性は、自分は、『母性本能』なるものを持ち合わせている、もしくは持ち合わせいるべきなのだ、とは思ったんではないでしょうか。
いま私たちが持つ、『お母さん像』の出どころについて、いろんなデータで語られている本です。
元々『イエ』の所有物的な扱いであった『女』と働き手として価値の高かった『男』。
その役回りをさらにややこしくしたのは、
どこの国でも同じだったんでしょうかね、アレです、アレ。
戦争。
『女』は戦争に行けないので、戦争に行ける『男』に従事する存在として、男からも、そして女自身からも虐げられていたわけです。
同じく『子供』も、たとえ男の子であってもまだ戦争に行けないうちは、『富国強兵予備軍』として半端ものとして、『女子供』とひとくくりにされていました。
しかし戦争が終わり、大正期に入って資本主義も浸透してきたところで、
まずは子供から神聖化する『童心主義』というのが起ったそうです。
子供には子供の世界があり、純真無垢で、何にも染まっていない天使のような存在である、という『主義』が発生したのが大正期。
それを追うように、母親を神聖化した『母と子』(下田次郎著)という本がベストセラーになったと。
その『母と子』では、
母は想像の源であり、希望であり、感激であり、慰安であり、宗教であります。
母の胎内こそ、我らの故郷であります。
そしてこの母親を神聖化する本が誰に支持されたかと言うと・・・
家の中に閉じ込められ、虐げられていた母、女性たち自身でした。
そりゃそうですよね、初めて持ち上げられた感があったんでしょうね。
女性たち自身が『聖母』像に飛びつき、支持しました。
時をおよそ同じくして発行された教育書『母のための教育学』では、
子供のために苦労するということが貴いのです。
もし、自己の享楽のために家を外にし、子供と離れ、飛び跳ねている母があったら、なんという大罪悪でしょう!ありったけの悪名と醜名を注いでも足りないほど、大きな罪人だと思います。かかる女こそは最初に地獄に行くべきです。
ですってwww
子供を家において遊びに出る母の言われようったらすごいです。
これも、そこまで昔の話ではないんですよね。
私たちのお祖母ちゃん世代がちょうど子供のころに発行されてベストセラーになった本たちです。
私の母世代の女性が、このエッセンスを色濃く持っていても、不思議ではないです。
それまでの地位が低すぎたために、まずはこの『聖母像』を足掛かりに、女性の地位向上がなされた、
ともとれるのだな、と思いました。
いま私は、この『聖母像』にたまに苦しめられます。
母たるもの、強く美しくあり、そして何があっても耐え忍び、文句を言わず子供のためにすべてを犠牲にして、それを幸せと感じなければいけない。
誰かにそう言われているような気になって、息苦しさと、憤りを感じます。
でもそれは、少しずつ社会での『女性』や『母』の立ち位置が変わる過程で起こっていることなんだと、改めて知りました。
この本自体は、ちょっと読みにくく、超偉そうなことを言わせていただくと少し浅い?(←エラソー!)
というのも、日本に強い『母親信仰』があったというもっと古い時代の記載を読んだことがあり、そこまで辿っていないので、
『母性と自己犠牲』の出どころを明かす、とまでは行っていないような気がします。
だがしかし、考えるきっかけをもらった本として、ご紹介させていただきました。
もしご興味あれば。
母だろうが子供だろうが、男だろうが女だろうが、みんな同じ人間っていうだけの話。
でもそれが、なかなか意外に難しい話。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
ひとりでできることには限りがある。