
おはようございます。みゆきです。
11歳と9歳の息子ふたりを育てています。
12年住んだ街から、あと数ヶ月で引っ越し。
12年も経つと街も様変わりしていて、
引っ越してきてすぐに夫と行った、交差点の大きな、
でも汚めの蕎麦屋さんのこととか、
思い出すことも増えてきた。
今住んでいる街のことを振り返るのもいいのだけど、
私にはもうひとつ懐かしい街があって、
それが、中野。
当時職場が神楽坂にあったので、
通勤に便利であろうと中野駅の不動産屋さんに飛び込んで、
その日すぐに見つかった、
3階建てのアパートの2階。
最寄り駅は新井薬師前で、
中野駅からは歩いて20分ほどだったか。
その後、職場が恵比寿に変わっても、
結局、夫と結婚するまで、
約10年間お世話になった部屋と街。
大家さんが3階の最上階に住んでいて、
私は202号室。
女性専用のアパートで、
居心地が良かった。
線路沿いに少し歩くと沼袋の駅があって、
その駅前の西友で、いつも週末に食料品を買っていた。
夫(当時は彼氏)はいつも金曜日の夜にうちに来て、
泊って土曜日に帰って行ったのだけど、
ある時の土曜日の昼食に、ラーメンが食べたいと言った。
外に食べに行くのではなく、
家で食べたいと言った。
『じゃあまぁ作るか』
と思って西友へ一緒にラーメンを買いに行ったのだけど、
ひとり暮らしの私のアパートにはどんぶりが無いことに気が付いて、
西友の寂しめな2階で、
ひとつ800円くらいの
『ごく普通の』どんぶりを買ったのだ。
特徴のないラーメン屋さんによくありそうな、
『普通の中華』と言ったらこんな感じでしょう、
みたいな、
竜とうずまき模様の、
決して好きではないけど、
どんぶりはこれしかないし、
大きさはちょうどいいし、
手ごろな値段だしと、
なんの変哲もないどんぶりを買って、
ラーメンの材料を買って、
うちに帰ってラーメンを作って、
夫と食べて、
夫はまた金曜日に着てきたスーツを着て
千葉の家に帰って行ったのだ。
そのどんぶりは丈夫で、
かけることもなく
いまも我が家にあって、
相変わらずラーメンを食べる時に使っていて、
その空のどんぶりを見た長男(11)がこの前、
「このどんぶり、かっこいいね。」
と言ったのだ。
「そう?かっこいい?
そうか、竜か。」
「うん。」
その会話で、私は一気に
沼袋の西友と、新井薬師の私の部屋に引き戻された感があって、
なんだか懐かしいなと、
長い付き合いになっている
なんの変哲もないどんぶりに
子供たちのラーメンを入れながら
思ったのだ。
なんて感じに、
街と、そこでの思い出を振り返る、
よしもとばななさんのエッセイがおもしろくて、
久々に感動なのです。
よしもとばななさんは、
もちろんお名前は知っていたのだけど、
いままで読んだことがなくて、
こんな文章を書く方なのだと、
いまさら知って、
そりゃ、有名にもなるなと。
小説はまだ読んだことがないのでわからないけど、
読んでみようと思っています。
言葉は平易なのに、
その並びや文の区切り、リズム感、
きっとその辺りで、
好みが合う人の文章を見つけると、
音楽を聴いているような感覚になります。
年齢を重ねると、
思い出のある街も、
増えるものです。
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いつも応援いただき、本当にありがとうございます。
本当は不安でたまりません。