「はい」の後に何を言おうかな

 

広告代理店で働いています。

他の業種でもあるかもしれませんが、

広告業界にいると、【ブレスト】という名の会議がたまにあります。

これは【ブレイン・ストーミング】の略。

日本語で言うと、アイディア出し?みたいな感じの会議です。

 

お客さんからこんな要望がきた。

それを実現するために、どんな広告やキャンペーンを提案するのか、

を決めるためにまず、アイディアを出し合ってみる場です。

いろんな立場の人が会議室にこもって、あーでもないこーでもない、と

とにかく案を出します。

 

良いブレイン・ストーミングをするためには大切なことがいくつかありますが、

もっとも大切なのは、

『人のアイディアを絶対に否定しないこと』。

バカげていても、実現が難しいのがわかりきっていても、

方向性がずれていても、とにかく否定をしてはいけません。

なぜなら、ひとつの案としてはバカげていたとしても、

他の案と組み合わせたり、ちょっとアレンジして、良い案に化けることがあるから。

その可能性を最初に潰しては、良いアイディアが形になることはありません。

 

どんなアイディアが出ても、まずは良い面だけを指摘します。

「面白いね」

「それはみんなシェアしたくなるね」

「それは買いたいね」

 

そんな過程を経た上で、

実現可能なもの、お客さんの要望を叶えるもの、予算がはまるもの、

を組み合わせて広告やキャンペーンが出来上がります。

ブレイン・ストーミングにかかわらずなのですが、

他人の発言に対して、

「はい、でも…」(Yes, but...)と返すのではなく、

「はい、それで…」(Yes, and...)と返すようにするだけで、

人生はずっと生きやすくなる、的なことを聞いたことがあります。

 

批判や否定をするのってすごく簡単で反射的にできますが、

相手の言ったことを発展させたり派生させたりするのは頭を使います。

なのでテクニックとして練習すると、頭の回転が速くなったり、

ポジティブな思考ができるようになったりして、

人間関係や仕事がうまくいったり、という意味なのだと思います。

 

でもこの前読んだ本には、こう書いてありました。

 

「はい、それで…」は、単なる技法ではありません。
ひとつの生き方なのです。

着たい服が売っていない、

かわいいバッグが売っていない、と部屋でうずくまって、自分でチクチク縫って作って、

それを身に着けている姉は、

とても楽しそうで、そして、

とても自然体です。

 

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