仕事を続けていく自信がなくなりました

 

いまの私の上司は、高校生の子供がいる女性です。

そう、私と同じ、ワーキングマザーです。

彼女は約15年前、小さな子供を抱えて
広告代理店という残業の多い職種で踏ん張り、
長い年数をかけて現在の高いポジションまで昇りつめました。

日本の会社で言う、『部長』レベル、というところでしょうか。
年収も確実に1,000万は越えているはず。

同じワーキングマザーということで、気をまわしてくれます。

夕方私が急いで帰ろうとしていると、

『あ、それ私やっとくから、早く行ってあげな~』

なんて言ってくれます。
(※仕事をやっといてくれるわけではなく、ゴミを捨てといてくれる、とかそういうことですが・・・)

 

これまで私の会社で、子持ちの女性で、
高いポジションにいる人を見たことがなかったので、

この会社に私の未来はない

と思っていたのですが、
彼女が入社したことで、

もしかして、できないこともない?

と思い始めていたところでした。

彼女の息子さんはもう高校生なので、
私のように早く帰ったりはしませんが、

仕事のやり方を見ていると、同じ『エンジン』を積んでる感じがします。


限られた時間の中で、最大の結果を出そう

としているのがわかります。

早口だし、決断も早いし、頭の回転も速い。

出世したのも頷ける人です。

そんな彼女がふと、保育園にお迎えに向かう私に
エレベーターの中で言いました。

「私、お迎え、いつもいちばん最後だったよ~
いつも先生に『遅すぎです!』って怒られてた~」

それが実際に何時だったのか、それは聞きませんでしたが、

保育園の先生が『遅すぎます!』と言う時間は、

相当遅いはずです。

おそらく、20時、21時。

その発言を聞いて私は、

やっぱり私はこの仕事をずっと続けていくことは、
できない

と再確認しました。

この業界、お客さんの都合に振り回されずに終えることは不可能。

そうなると残業は、必然。

photo by JORDI BECERRA

 

いまはもう高校生になった息子さんは、
普通に育っていると思います。

特にグレているわけでも、特に落ちこぼれているわけでもなさそうです。

保育園にお迎えに行く時間が21時になったって、

子供はそれなりには育つと思います。

彼女はすごーーーく、頑張ったんだと思います。

尊敬もします。

 

でも、

でも、

でも、

私には、そこまで子供を待たせることは

耐えられそうもありません。

それくらい大したことじゃない、と言う人もいると思いますが、

そこまでして続ける仕事でもないとも思います。

母親になって、言葉を持たない弱いものを育ててみて、

無意識に鍛えてきた能力があります。

 

それは、【共感力】です。

子供の表情、泣き声、感触、温度、

自分の五感を使って彼らを観察し、

どんな体調、どんな気持ちなのか想像し、察する努力を重ねてきました。

そうすることでしか、彼らを守る手段は無いと、
思ったからです。

熱があるのかな
気持ち悪いのかな
痒いのかな

不安なのかな
寂しいのかな
怖いのかな
悲しいのかな

彼らの気持ちに寄り添おうとすると、

夜遅く、眠くもある時間まで、私の帰りを待たせるのは、

自分の心がもたなそうです。

保育園でほかの『おともだち』がどんどんママと一緒に帰っていく中、
自分のママの顔を探す息子たちの顔を思い浮かべてしまいます。

同時に、そんな彼らがその時どう感じているか、
臨場感を持って『共感』してみると、

それはきっと心細く、一心にぬくもりと安心感を求める心が迫ってきて

涙さえ出そうになります。

 

実際子供たちは、いまでもごくたまに保育園で『ママー』と泣いているんです。

たとえ小学生になっていたとしても、

やっぱり無理。

どこかでもう少し、彼らのために体を空けておきたいと思う気持ちが、
抑えられません。

やっぱり

やっぱり、

サラリーマン脱出計画、頑張って進めるのは、

子供のためでもあり、自分のため。

 

 

 

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